2026年8月28日

海外旅行や海外出張、留学などを予定されている方の中には、「狂犬病ワクチンを接種した方がよいのだろうか」と悩まれる方もいらっしゃると思います。
日本国内では狂犬病を目にする機会はほとんどありませんが、海外では現在も多くの国・地域で発生している感染症です。
特にアジア・アフリカなどへ渡航する場合には、旅行中に犬やその他の動物と接触する可能性も考えて、渡航前に狂犬病について知っておくことが大切です。
今回は、狂犬病の感染経路、海外渡航時に注意したい地域、狂犬病ワクチンの接種方法・スケジュール・抗体の持続などについて解説します。
狂犬病とは?
狂犬病は、狂犬病ウイルスによって引き起こされる人獣共通感染症です。
主に狂犬病ウイルスに感染した動物に咬まれたり、引っかかれたりすることで唾液に含まれるウイルスが体内に侵入して感染します。
ウイルスは末梢神経を通って中枢神経へ到達し、脳炎などの重篤な神経症状を引き起こします。
狂犬病の非常に重要な特徴はいったん症状を発症すると、ほぼ100%致死的な感染症であることです。
一方で、動物との接触後に適切な創傷処置とワクチン接種などの曝露後予防を速やかに行うことで発症を予防することができます。WHOによると、世界では年間約59,000人が狂犬病で死亡すると推計され、その95%以上がアジア・アフリカで発生しています。
狂犬病ワクチンは定期予防接種?
日本では、**人に対する狂犬病ワクチンは定期予防接種ではなく「任意接種」**です。
そのため、通常の生活をしているすべての日本人が接種するワクチンではありません。このためワクチン接種歴のない日本に住んでいる方は抗体がないことが一般的です。
・狂犬病流行地域への渡航
・動物と接触する可能性が高い
・長期間滞在する
・医療機関へのアクセスが難しい地域へ行く
・獣医師や動物関係の仕事をする
といった場合には、渡航前の予防接種(曝露前免疫)を検討します。
海外渡航ではどこの地域で注意が必要?
狂犬病は日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドなど一部の国・地域を除き、世界各地で感染リスクがあります。
WHOでは、世界の狂犬病による死亡の大部分がアジア・アフリカで発生しているとしています。
厚生労働省によると、アジア・アフリカでは犬や猫が主な感染源となります。
また、北米・中南米・ヨーロッパの一部では、コウモリ、キツネ、アライグマ、スカンクなどの野生動物にも注意が必要です。
旅行中、どのようなことで狂犬病に感染する?
最も多いのは、感染した動物に咬まれることです。
しかし、
「咬まれていないから大丈夫」
とは限りません。
感染する可能性がある行為には、
・犬や猫などに咬まれる
・動物に引っかかれる
・傷のある皮膚を動物になめられる
・動物の唾液が目や口などの粘膜に入る
・コウモリと直接接触する
などがあります。
WHOでは、出血を伴わない軽い引っかき傷でも曝露に該当し、ワクチン接種が必要になる場合があります。
海外では、観光地にいる犬、猫、サルなどが人に慣れていることがありますが、むやみに触ったり、餌を与えたりしないことが大切です。
海外で犬や動物に咬まれたらどうする?
狂犬病ワクチンを渡航前に接種していたとしても、動物に咬まれた場合には対応が必要です。
まず、傷口を石けんと大量の流水で十分に洗浄します。
WHOは可能であれば約15分間しっかり洗浄することを推奨しています。
そのうえで、できるだけ早く現地の医療機関を受診し、曝露後の狂犬病ワクチン接種などについて相談してください。
重要なのは、渡航前に狂犬病ワクチンを接種していても、咬傷後のワクチンが不要になるわけではないということです。
日本のラビピュール添付文書でも、曝露前免疫を完了した人であっても、咬傷等の曝露を受けた場合には曝露後免疫を行うこととされています。
狂犬病ワクチンとは?
当院では、狂犬病ワクチンとしてラビピュール筋注用を使用します。
ラビピュールは、不活化狂犬病ワクチンです。
生きた狂犬病ウイルスを接種するワクチンではなく、不活化した狂犬病ウイルスを利用して免疫を獲得させます。
1回1.0mLを、原則として上腕三角筋などへ筋肉注射します。
日本の添付文書でも、ラビピュールは筋肉内注射のみで使用し、皮下注射・静脈注射は行わないことが規定されています。
卵・鶏肉アレルギーがある方は注意が必要です
ラビピュールは、狂犬病ウイルスをニワトリ胚初代培養細胞で増殖させて製造されています。
製造工程では発育鶏卵が使用され、鶏由来成分が微量に残留する可能性があります。
そのため、
に対してアレルギーを起こす可能性がある方は、添付文書上の**「接種要注意者」**に該当します。
卵アレルギーがあるからといって一律に接種できないわけではありませんが、状態増悪の可能性も考慮し当院では接種を見合わせています。この場合は総合病院に紹介をさせていただいております。
狂犬病ワクチンの接種スケジュールは?
日本で承認されているラビピュールの曝露前接種は、
1回目:0日
2回目:7日後
3回目:21日後または28日後
の合計3回です。
例えば8月1日に1回目を接種した場合、
8月1日 → 1回目
8月8日 → 2回目
8月22日または8月29日 → 3回目
というスケジュールになります。
そのため、海外渡航が決まった場合には、できるだけ早めにトラベルワクチンについてご相談いただくことをおすすめします。
そのため、渡航までの日数、渡航先、滞在期間、その後も狂犬病流行地域へ渡航する可能性があるかなどを考慮して接種スケジュールを検討します。
2回接種すると、いつ頃抗体がつく?
狂犬病ワクチンは1回目から免疫反応が始まりますが、1回だけで十分な免疫が得られるとは考えません。2回目終了後に抗体がしっかり上昇してくるとされています。
発表する機関によっても異なりますが、2回接種後2週間程度で中和抗体が基準の達することが多いとされています。
1回目:Day 0
2回目:Day 7
抗体が十分に形成される目安:2回目から約2週間後とされており、ワクチン接種開始から3週間程度
と考えると分かりやすいでしょう。
2回接種すると抗体はどれくらい続く?
3年つづくというデータもあれば1-3年程度抗体があるなどばらつきが認められます。
そのため、短期~中期的な海外渡航リスクに対しては2回接種でも有効な基本免疫とされています。
ただし、長期にわたって狂犬病への曝露リスクが続く場合には、
といった方法が推奨されます。
当院の狂犬病ワクチンに関して
当院では海外渡航前の狂犬病ワクチン接種に対応しています。
予約方法:WEB予約、電話予約が可能です。予約は1週間以上後であれば予約することができます。お急ぎの方はお電話で気軽にご相談ください。
当院は予約確認できた後発注をしております。
狂犬病ワクチン(ラビピュール)
1回 17,600円
日本の標準的な曝露前接種として3回接種する場合には、
1回目:初回接種
2回目:1回目接種してから7日後
3回目:1回目接種してから21日または28日
のスケジュールとなります。
渡航までの日数が短い場合や、「自分の渡航先では狂犬病ワクチンが必要なのか分からない」という場合も、渡航先・滞在期間・旅行内容などを確認したうえで接種についてご相談いただけます。
まとめ
狂犬病は、日本国内では非常にまれな感染症ですが、海外では現在も多くの国で発生しています。
特にアジア・アフリカなどへ渡航する場合には、犬や猫をはじめとする動物との接触に注意する必要があります。
狂犬病ワクチンは不活化ワクチンで、日本のラビピュールでは0日・7日・21日または28日の3回筋肉注射が曝露前接種の基本です。
海外渡航が決まった場合には、渡航直前ではなく、できるだけ余裕をもってワクチン接種について医療機関へ相談することをおすすめします。
また、渡航前にワクチン接種を完了していても、海外で動物に咬まれたり引っかかれたりした場合には、速やかに傷口を洗浄し、現地医療機関を受診してください。
ワクチンの接種や相談などあれば気軽にほりた内科・消化器内視鏡クリニック池袋駅東口院までお問合せください。
Tel:03-6912-8233