大腸ポリープ・大腸がん
大腸ポリープ・大腸がん
大腸ポリープとは、大腸の内側の粘膜にできる隆起の総称です。形は浅く、横に長いものからきのこ状に盛り上がったものまでさまざまで、大きさも数ミリの小さなものから数センチに及ぶものまであります。
多くの大腸ポリープは良性ですが、一部は時間の経過とともに大腸がんへ進行する可能性があることが知られています。そのため、早期に発見し、適切に対応することがとても重要です。
大腸ポリープは自覚症状がないことが多く、検診の便潜血陽性や人間ドックを契機に大腸カメラ検査をしたところ見つかるケースが少なくありません。症状が出現した時にはがんがかなり進行していることもあるため大腸カメラで早期に発見し、適切に対応することがとても大切となります。
大腸ポリープは全て将来がんになる可能性があるわけではなく、種類によって大腸がんになるかどうかが異なります。大腸がんのリスクになる代表的なポリープは「大腸腺腫」と「鋸歯状病変」です。
大腸がんの多くはこれらのポリープを経て発生すると考えられています。一方過形成ポリープや炎症性ポリープなどのポリープは一般的にはがん化しないとされています。
肛門近くにできたポリープや一定以上大きいポリープがある場合に血便や腹部膨満感を自覚する場合がありますが、ほとんどの場合は症状がありません。
このため大腸がんになる可能性のあるポリープをより早期に見つけるためには、大腸がん検診を受けたり、一定以上の年齢になったら大腸カメラ検査を受けるのが重要となります。
大腸ポリープの発生には、複数の要因が関与しています。主な要因を以下に示します。
年齢とともに発生頻度が高くなるとされています。40歳以上からは検診も始まりますが、家族歴などリスクが高い方に関しては早めに検査をすることを推奨します。
脂肪分の多い食事や食物繊維の不足をしている場合などはリスクとされています。また飲酒に関しても飲酒量が多い程大腸がんのリスクになるとされており、注意が必要です。
内臓脂肪の増加が腸内環境やホルモンバランスに影響します。これらにより小さな炎症が起きたり、細胞増殖に影響を与えるなど大腸の粘膜に影響がおきるとされています。
発がん物質による影響や、体に慢性的な炎症を起こしこれにより細胞の障害・再生の過程でがん化するリスクがあります。
血縁者に大腸ポリープや大腸がんの方がいる場合、注意が必要です。リンチ症候群や家族性大腸腺腫症などの遺伝性疾患が代表例であり、リスクが極めて高くなるため若年の時から大腸検査をすすめます。特にご家族の中で50歳未満で大腸がんとなった方がいる場合は注意が必要です。
大腸ポリープの発見には、大腸カメラ検査が最も有効です。内視鏡検査では、盲腸から肛門までの大腸全域を直接詳細に観察できます。また検査中にポリープを見つけたらできる限り切除したり、一部の粘膜の採取をすることで治療や確定診断ができます。
他にも便潜血検査や大腸CT検査などがありますが、それぞれ注意点が必要です。
便に混じった血液を調べる検査で、健康診断などで広く行われています。ただし、早期の大腸がんやポリープでは陰性となることも多く、十分とは言えません。また大腸がんがあっても出血は断続的で排便時には陰性になってしまうことがあり陰性でも大腸がんが認められるケースがあります。
隆起が目立つポリープに関しては大腸カメラと同等の発見率が期待できますが、平たい病変や小さい病変では発見率が下がるとされてます。また、仮にポリープを疑う病変を見つけても治療や確認が必要なため最終的には大腸カメラが必要となります。
大腸ポリープが見つかった場合、その種類や大きさ、形に応じて治療方針を決定します。がん化する可能性があると判断されたポリープについては、内視鏡を用いて切除することが一般的です。
代表的な治療としてはスネアという金属製の輪っかをポリープにかけて治療するポリペクトミー、粘膜の下に薬剤を注入し、病変を持ち上げてからスネアで治療する内視鏡的粘膜切除術(EMR)、腫瘍を周囲ごと内視鏡の先端についた電気メスですこしずつ粘膜を切っていく内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などがあります。
ポリープの状態次第では入院前提の上で治療をした方がいい場合があり、その場合には他施設に紹介をさせていただきます。
内視鏡治療はお腹を切らずに行えるため、体への負担が比較的少ない治療方法です。多くの場合、日常生活への影響も最小限で済みます。
切除後に注意が必要なのは術後出血です。処置当日の夜から翌日が出血は最も多いですが、処置後1週間は出血のリスクがあるため以下の点に注意してください。
血便や腹痛が出た場合は、早めにご相談ください。
切除したポリープの数や大きさ、種類など病理結果により判断をしていきます。将来がんになる可能性のあるポリープを切除した場合は、切除したところの確認やほかに病変がないか確認が必要なため1年後の検査を推奨します。
腫瘍のリスクのないポリープを治療した場合でも3~5年に1度は大腸カメラ検査を推奨します。
上記は目安であり、患者様それぞれの背景や検査の時の状況によって異なります。これらを総合して次回は何年後に検査をしましょうとお話をします。
食生活の改善や運動習慣は大切ですが、生活習慣の改善だけで完全に予防することはできません。症状がなくても定期的に大腸カメラ検査を受けることが重要です。
当院では安心して検査・治療を受けていただける体制を整えています。
気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
大腸は小腸に続いて一番下部に位置する臓器です。食べたものを最後に処理するところで約1.5〜2mの長さの程度とされています。
小腸で消化されたものに対し水分を吸収しながら肛門まで移動させていき、便を作る働きをしています。炎症などがあると水分の吸収がうまくいかなくなるため下痢になったり、腸の動きがわるかったり大きなできものがあると便秘になることがあります。
この大腸に発生する悪性腫瘍が大腸がんです。
日本では大腸がんの患者数、死亡数は年々増加しておりがん全体の中でも上位の頻度を占めるようになっています。
大腸がんが診断される人数は約15万人とされています。男では前立腺がんに次いで多く、女性では乳がんに次いで多いとされており、男女共にがんの中では2位となっております。
死亡数は約5万人程度とされており、がん死亡原因の上位に位置します。男性では肺がんに次いで多く、女性では最も多いがんの死亡原因です。
大腸がんは男女ともに40歳代からリスクが上昇し、高齢になるほど発症頻度が高くなります。
出典:国立研究開発法人 国立がん研究センター がん情報サービスより
大腸にいきなり大腸がんができることがありますが、ほとんどの場合は良性の大腸ポリープの進行や、長期の大腸炎を背景にがんができるとされています。
このため大腸ポリープの原因となるものが大腸がんのリスクになります。
大腸ポリープからの進行以外で注意が必要なのが大腸に炎症が持続した結果、細胞ががん化することです。代表的な疾患としては潰瘍性大腸炎があり、ポリープはなくても炎症が長期にみられるケースでは注意が必要となります。
発症してすぐに大腸がんは自覚症状がないことが多く、進行して大腸がんが大きくなるとさまざまな症状がでる場合があります。主な症状としては以下のものがあります。
肛門近くにがんができた場合は血便がでたり、便秘や便が細くなるなどの症状がでることがあります。
しかし大腸がんが盲腸や上行結腸など小腸に近い大腸の入口近くの場合症状がでにくいという特徴があります。これは小腸からでたものは水に近い状態のため便秘になりづらかったり、出血しても薄くなり排便するまでうすくなるために気づかないなどがあります。
診断には以下のような検査が用いられます。
便潜血検査
がんや大きなポリープがあると血液が混じることがあり、40歳以上では検診のスクリーニングとして行われます。簡便ですが出血が断続的なことがあるため、2回の便で検査をします。1回でも陽性なら大腸カメラを推奨しますが、陰性でも大腸がんが完全には否定できません。
内視鏡検査(大腸カメラ)
最も確実な方法で直接大腸全体の内部を観察し、ポリープやがんの有無を調べます。必要に応じてポリープを切除したり、大腸の一部の粘膜を採取して病理検査を行います。
大腸CT検査(CTコロノグラフィ)
大腸の中を3Dで画像を構築し、大腸ポリープの有無の評価をしていきます。大腸カメラよりは簡便ですが、平坦や色調の変化のみの大腸病変では検出が困難ことがある点やポリープを見つけても治療のために大腸カメラが必要となるなどデメリットもあります。
全身CT検査、MRI検査、腹部超音波
ある程度進行したポリープや大腸がんに関しては大腸の壁肥厚として所見が見える場合があります。また大腸がんによる転移の評価を行うことができます。
特に急激に進行した便秘や腹部膨満感、血便などでは大腸がんなどで大腸が狭くなっている可能性があります。大腸が狭い状態で前処置の下剤を内服すると腸が破れて状態が急激に悪くなる可能性があるため、大腸カメラの前にCT検査を行うことがあります。
がんは進行度に応じてステージ0〜IVに分類され、数字が大きくなるほど進行しています。
| 病期 | 5年ネット・サバイバル |
|---|---|
| I期 | 92.3% |
| II期 | 85.5% |
| III期 | 75.5% |
| IV期 | 18.3% |
ネット・サバイバル:他病死などの影響をできるだけ除き、“がんの影響”をより反映する指標(がん情報サービスでは相対生存率に代わり採用)
出典:国立がん研究センター「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」大腸がん・2014–2015年診断・5年生存率(男女・全年齢・全体)より
ステージ0期に関してはがんが粘膜内にとどまる早期の大腸がんであるため、内視鏡治療のみで経過観察をすることが一般的です。I期よりも生存率が高いと考えられます。
治療はがんの進行度や患者様の全身状態に応じて選択されます。
内視鏡的切除
早期の大腸がんに関しては大腸カメラで切除することで治療が完結する場合があります。内視鏡でがんを疑う所見がある場合には、まずはがんの深さの評価をしていきます。内視鏡で根治ができると考えられる場合には内視鏡の治療を行います。治療方法にはEMR、ESDが代表的な治療方法があり、病変に応じて治療を判断していきます。治療後の病理検査を確認して、内視鏡治療のみで経過観察するか追加の検査・治療が必要か判断をしていきます。
外科手術
内視鏡治療が困難な深い大腸がんや切除が可能な転移がある場合で行われることがあります。内視鏡治療後の評価で転移のリスクがある場合はがんの切除をした大腸の部位および周囲のリンパ節の切除を行う場合があります。
化学療法(抗がん剤治療)
薬剤を使用してがん細胞の制御をしていきます。手術前後に行う場合や、転移をしていて手術が困難な場合は化学療法を行う場合があります。
がん自体を発生させない1次予防に関しては生活習慣に関して気を付ける必要があります。
しかし完全な予防はできないため、次に前がん病変である大腸ポリープの治療や大腸がんを早期の内に診断するために2次予防として大腸カメラ検査を行うのが重要となります。
検診による早期発見は死亡率を下げる効果があると報告されています。
大腸がんは早期に見つかれば治療成績も良好で、適切な検査と生活改善で予防可能な病気です。不安な症状や検査についてのご相談は、お気軽に当院にご相談ください。
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