便秘
便秘
便秘とは便が出にくい、出てもすっきりしない、排便の回数が少ないといった状態が続くことを指します。慢性便秘のガイドラインでは「本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。排便習慣は個人差が大きく毎日排便がないからといって必ずしも異常というわけではありませんが、「つらい」「日常生活に支障がある」と感じる場合は、便秘として対応が必要です。一方で、中には大腸がんなどの疾患が原因で便秘症状を引き起こすことがあり、消化器科を受診して原因疾患を確かめ、適切な治療を受ける必要があります。
便秘は年齢や性別を問わず多くの方が悩む身近な症状であり、生活習慣の影響を大きく受けます。適切な対処を行うことで、改善が期待できることが多い症状です。
便秘にはいくつかのタイプがあります。
運動不足など大腸の動きが弱くなり便が進みにくくなる弛緩性便秘、便意を我慢することが続いて起こる直腸性便秘、ストレスなどで腸の動きが崩れてしまう痙攣性便秘が代表的な機能性の便秘となります。
原因としては、水分や食物繊維の不足、運動不足、生活リズムの乱れ、ストレス、加齢、仕事などで排便を我慢する習慣が続くことなどが関係します。多くの場合、これらが複数重なって起こります。
ほかにも大腸ポリープやがんなどで物理的に腸が狭くなることで生じる器質性便秘、甲状腺機能低下症・糖尿病など全身疾患から症候性便秘、血圧を下げる薬・抗うつ薬など処方された薬から起きる薬剤性便秘など便秘の原因は多岐にわたるため患者様一人ひとりの背景を詳細に確認していく必要があります。
急に便秘が強くなった、腹痛やお腹の張りが続く、便に血が混じる、体重が減ってきたといった症状がある場合には注意が必要です。
このような場合、腸の腫瘍や全身疾患などが関係していることもあり、早めに原因を調べることが大切です。
以下は代表的な便秘の疾患です。
過敏性腸症候群(IBS)は、腸に器質的異常がないにもかかわらず症状が出る病気です。ストレスや緊張をきっかけに腸の動きが乱れ、便秘・下痢を起こします。腹痛やお腹の張りを伴うことが多く、排便後に症状が軽くなるのが特徴です。薬物による治療は大切ですが、ストレスから来る可能性がある点を認識の上で生活をしていく必要があります。
大腸がんが進行した結果、腸の内腔が狭くなることで便秘を起こすことがあります。特に肛門近くのS状結腸や直腸の大腸がんでは、便が細くなる、血便を伴うなどの変化がみられることがあります。また腸が物理的に狭くなると便の硬い部分は通らなくなりますが、水分のみが通過する可能性があるため下痢とお腹の張りを認めることもあります。
初期は無症状のことも多いため、便通の変化が続く場合は早めの内視鏡検査やCT検査などの画像検査が重要です。
便秘を起こす代表的な炎症としては憩室炎、クローン病などの炎症性腸疾患があります。
炎症を起こすことにより腸管の壁自体が肥厚・線維化による物理的狭窄、腸管外まで炎症の影響があると腸管の癒着が起こり、腸の蠕動が低下することにより便秘の増悪を起こす場合があります。
代表的な電解質異常として低K血症、高Ca血症があります。これらの異常がある場合は腸の蠕動運動が低下することにより便秘が起きる場合があります。また脱水を合併することがあるため便秘自体をさらに助長していきます。薬剤や、ホルモンの異常などが原因で起きる可能性があるため内服歴の確認や採血で評価をしていくことがあります。
糖尿病が長く続くと自律神経障害により腸の動きが低下し、便秘を起こすことがあります。甲状腺機能低下症では自律神経障害以外にも全身の活動性の低下が起こり便秘の原因となります。これらの評価に関しては採血で確認をしていきます。
薬剤の副作用で便秘を引き起こします。降圧剤のカルシウム拮抗薬、抗コリン作用をもつ抗うつ薬や抗アレルギー薬、咳止めなどが代表的です。また大腸を直接刺激して腸の蠕動を起こす刺激性下剤を長期に使用すると、腸の蠕動や排便をする力が弱まってしまい便秘を増悪させる可能性があります。
当院ではまず患者様のお話を丁寧に伺い、便秘の経過や生活習慣、服用中のお薬などを確認します。この時急に便秘が強くなった、長期間お腹の張りや腹痛が続く、血便がでる、体重減少があるなどの兆候がある場合は炎症やがんなどの腫瘍の可能性を考慮して診療をしていきます。
診察後に必要に応じて血液検査、超音波やレントゲンなどの画像の検査、内視鏡検査などを行い、便秘の原因を調べます。
検査が必要かどうかは症状に応じて判断し、無理に検査を行うことはありません。不安な点があれば、事前にわかりやすくご説明いたしますのでご安心ください。
便秘の改善には、日常生活の見直しがとても重要です。まずは十分な水分の補給をしましょう。
また食べ物の観点では、食物繊維不足で便秘を引き起こされることが多く、食物繊維の摂取量を増やすことが推奨されます。代表的な食品は以下のものがあります。
| 穀類 | 麦ご飯、玄米、ライ麦パン、全粒パン、全粒パスタ など |
|---|---|
| フルーツ | ベリー類、チェリー、グレープ、キウイフルーツ、パインアップル、プルーン、皮のついたりんご/なし/桃など |
| 野菜 | キャベツ、セロリ、とうもろこし、グリンピース、おくら、マッシュルーム、皮のついたじゃがいも、さつまいも、なす、きゅうり、ほうれん草、トマトなど |
| 豆類 | 黒豆、ひよこ豆、いんげん豆、大豆製品 |
| ナッツ・種 | アーモンド、チアシード、塊のナッツバター |
適度な運動、十分な睡眠、便意を感じたら我慢せずにトイレへ行く習慣をつけることも大切です。無理のない範囲で、少しずつ生活習慣を整えていきましょう。
治療は便秘のタイプや症状に合わせて行います。生活習慣の改善に加え、必要に応じて便をやわらかくするお薬や腸の動きを助けるお薬、漢方などを使用します。
下剤に対し不安がある方もいらっしゃいますが、体に負担の少ない治療法を選び、無理のない形で進めていきます。症状の変化を確認しながら、患者様一人ひとりに合った治療を大切にしています。
便秘は我慢されがちですが、適切に対応することで楽に過ごせるようになることが多い症状です。当院では専門医が患者様のお話を丁寧に伺い、不安を和らげながら診療を行っています。便秘でお困りのことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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