2026年4月10日

健康診断や人間ドックの結果で、肝臓の数値が高いと指摘され不安になったことはありませんか。
AST、ALT、γ-GTPなどの項目が基準値より高いと、「何か大きな病気なのでは」と心配になる一方で、自覚症状がないため、そのまま放置してしまう方も少なくありません。
しかし、肝機能異常は、体からの大切なサインであることがあります。実際には、脂肪肝のように比較的よくみられるものから、ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害、アルコール性肝障害、まれに肝臓の腫瘍や胆道系の病気まで、さまざまな原因が隠れている可能性があります。
そのため、健診で肝臓の数値の異常を指摘された場合には、一度医療機関で詳しく確認することが大切です。
肝臓の数値が高いとは?
健診でよく確認される肝臓の項目には、AST、ALT、γ-GTPなどがあります。これらが上昇していると肝臓の数値が高いと評価をされます。ここで3つの項目に関して説明します。
検査値について:AST(GOT)、ALT(GPT)
AST、ALTは肝臓の逸脱酵素とされており、肝細胞の障害を反映しやすい項目です。検査する医療機関によってはGOT、GPTと記載されていますが、同じものをいいます。これらは肝臓以外にも心筋や骨格筋などの他の細胞にも含まれていますがASTと比較してALTの方が肝細胞に特異的にみられ、半減期も長いという特徴があります。これらの数値の高さやどちらが高いかを評価することにより病態を評価します。
検査値について:γ-GTP
γ-GTPは主に胆道系の障害や飲酒、脂肪肝などで上昇します。胆道系とは肝臓で生成された消化液の胆汁を十二指腸まで運ぶ通り道であり、胆石などで胆管の流れが悪くなる場合や、画像では大きな異常がないものの肝臓自体の障害で微細な胆道の障害がでても数値としては上昇します。また飲酒では酵素であるγ-GTPを誘導するため上昇がみられる場合があります。
肝機能障害の原因と症状は?
肝機能障害の原因は様々ですが、健診で指摘される場合には症状は何もないことが多いです。しかし検査の数値として現れているため精査が必要となります。
どんな原因が考えられるの?
考えられる主な病名・原因を記載します。
・脂肪肝
・アルコール性肝障害
・薬剤性肝障害(内服やサプリメントなど)
・感冒に伴う一過性肝機能障害
・筋トレによる筋障害による上昇
・ウィルス性慢性肝炎(B型肝炎、C型肝炎)
・免疫異常による肝機能障害(原発性胆汁性胆管炎、自己免疫性肝炎など)
・器質的異常:胆石、肝臓・胆管・膵臓などの腫瘍など構造物による肝機能障害
このように原因は多岐にわたるため健診結果だけで自己判断するのではなく、必要に応じて追加の血液検査や腹部エコーなどを組み合わせて確認することが重要です。
どんな症状がでてくる?
胆石や腫瘍による胆道系のうっ滞、細菌感染、炎症が出現する場合には腹痛、嘔気、発熱などの症状がでてくることがあります。
ウィルス感染の場合発熱や倦怠感が出現する場合があります。
しかしそれ以外の肝機能障害であれば重篤な肝障害がない限りはあまり症状として出てこないことが多いです。
受診した方がよいのはどんなとき?
健診で肝臓の数値の異常を指摘されたら、一度は受診することをおすすめします。
これは上記のように原因が多岐にわたる点や、数値が軽度で症状がなかったとしても長期に肝臓の障害を持続すると肝硬変や肝腫瘍が将来でてくる可能性があるためです。症状がなく、数値もそこまで大きくない場合は急ぎではないものの一度診察を受けることを推奨します。
数値が高い場合や症状がある場合には早めの受診が必要です。
特にAST、ALTが3桁以上まで上昇している場合や腹痛などの症状がある場合は早めの受診を推奨します。胆石や腫瘍などの可能性もあり、特にそれらが原因で細菌感染を起こした場合は急激に状態が増悪する可能性もあるため注意が必要です。
受診するとどんな診療をするの?
健診結果の精読をします。
肝機能障害と指摘された場合どの項目が高いかどうかで方針もかわるため、評価をしていきます。
健診や人間ドックで受ける検査項目は個人差があるため、どの項目が検査しているか確認します。既にHBs抗原,HCV抗体などのウィルスの検査歴があるかどうか、既に腹部超音波をしているかを確認していきます。
複数健診受診歴がある場合は数値の推移を確認します。体重が明らかに増加している場合は脂肪肝などから肝機能障害が出現したのではと推測することもあります。
問診で背景を確認していきます。
・既往歴
・家族歴
・食生活
・飲酒量
・体重変化
・服用中のお薬・サプリメントの使用状況
・輸血歴
・筋トレなどの激しい運動をするかどうか
・健診受診時の症状
健診の結果次第ですが、上記の問診を行うことがあります。特に健診直前の状態・行動で一時的に肝機能障害が出現している場合もあるため問診は非常に重要となります。
問診、健診結果から病態を予測した上で必要な検査やその施行時期を決めます。
主な追加検査は採血、腹部超音波検査を検討します。問診、健診結果から病態を推察し必要な項目を行います。必要なら当日検査を行いますし、生活指導後に再検の方が望ましい場合は少し時間を空けて検査をする場合があります。
今後の方針を決める
検査の結果から除外できる病態を外し、総合的に原因を診断します。
・脂肪肝、アルコール性肝障害の場合は生活指導の上、再度採血を行い改善するかみていきます。
・薬剤性肝障害を疑う場合は被疑薬を中止の上、採血を確認していきます。
・健診時の感冒や筋トレの影響で数値が上昇している可能性がある場合は、状態・経過が問題なければ再度採血を行います。
・感染症、免疫異常、器質的異常による上昇の場合はそれぞれ適切な対応が必要となります。
時には、当院の検査結果だけでは確定に至らない症例もありますが、肝障害の程度が軽微なものや改善傾向にあるものは経過観察とし、肝障害が高度なものは総合病院に紹介し精査をお願いする場合があります。
健診で異常を指摘されたら、お早めにご相談ください
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状が出にくい臓器です。そのため、健診で異常を指摘された時点が、病気を早めに見つける大切なきっかけになります。
健診で肝臓の数値が高いと言われた場合、その背景には脂肪肝や生活習慣の影響だけでなく、治療や継続的な管理が必要な病気が隠れていることもあります。
早めに受診することで、原因を明らかにし、必要な対応につなげることができます。
当院では健診異常に対する専門的な診察、血液検査、腹部エコーを通して、肝機能異常の原因を丁寧に確認しています。
健診で肝臓の数値が高いと指摘された方は、お気軽にご相談ください。
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