痔核・いぼ痔・きれ痔
痔核・いぼ痔・きれ痔
まずいぼ痔という言葉が広く知られていますが、医学的には痔核という言葉が正しく、痔核も内痔核・外痔核に分かれます。
次に切れ痔は医学的には裂肛という言葉が使用されています。
いずれも肛門にできる代表的な疾患ですができる場所、原因、症状が異なります。
切れ痔(裂肛:れっこう)とは、肛門まわりの皮膚が裂けてしまい、傷ができている状態をいいます。
この部分はもともと柔らかい皮膚ですが、硬い便や勢いの強い便が通る際に大きな負担がかかり、傷ができてしまうことがあります。痛みが強く出ることが特徴で、トイレに行くのが不安になる方もいらっしゃいます。
切れ痔でよくみられる症状は以下の通りです。
| 主な原因 | 内容 |
|---|---|
| 排便時の強い痛み | 肛門が裂けるような鋭い痛みを感じることが多く、特に硬い便のときに強く出ます。強い痛みによる排便を我慢した結果、便が硬くなるなどの悪循環をきたす場合があります。 |
| 出血 | トイレットペーパーに鮮やかな赤い血が付く、便やその周囲に血がつくことがあります。 |
| 排便後も痛みが続くことがある | 痛みは便が出た瞬間だけでなく、しばらく続く場合があり生活の質が下がる場合があります。 |
| 違和感・かゆみ | 便による刺激で肛門に炎症がおきると、肛門まわりの違和感や軽いかゆみを感じることがあります。 |
| 排便困難 | 切れ痔を繰り返す場合は肛門が狭くなるため、便秘が増悪するケースが稀にあります。 |
切れ痔は肛門周囲の皮膚が裂けることで起こるため、次のような要因が挙げられます。
| 主な原因 | 内容 |
|---|---|
| 便秘・硬い便 | 腸内で水分が失われ硬い便になると、肛門の皮膚に強い摩擦がかかります。 |
| 繰り返す下痢 | 水っぽい便を何度も排便することによって肛門に負担がかかり、傷つきやすくなります。 |
| 過度ないきみ | 排便時に無理に力むことで肛門への負担が増します。 |
| 生活習慣の影響 | 食物繊維の不足、水分不足などで便が硬くなったり腸管の動きが低下したことにより便秘になりやすくなることがあります。日常的な運動不足も便秘になり、それから切れ痔となるケースがあります。 |
ほとんどの場合、初期の切れ痔は適切なケアで改善が期待できます。
便を柔らかくする習慣
排便時に無理にいきまない
痛みを避けるだけでなく、肛門を傷つけにくくします。
食事内容の調節
辛い物、アルコール、高脂肪食を避けるようにします。
医療機関での治療
症状が強い場合や改善しない場合は、受診をおすすめします。
軟膏・座薬
症状を抑えることも目的にします。抗炎症作用や鎮痛成分を含む薬剤で症状改善をしていきます。
内服薬
主に便秘の改善薬などを併用することがあります。刺激性下剤とされる腸を動かす内服は切れ痔を悪くする可能性があるため、その旨を説明の上便を柔らかくする内服を提案する場合があります。
保存的治療が困難な場合
慢性的に治らない場合や、肛門が狭くなる場合は専門的な処置や手術が検討されることがあります。
肛門周囲の血管がうっ血(流れが悪く、滞っている状態)し、こぶ状に腫れてしまった状態をいいます。
肛門は排便時に大きな力がかかる場所であり便秘や下痢などの排便の不良や、強いいきみなどが続くと血流が悪くなり、痔核が生じやすくなります。
痔核はできる場所によって、
に分けられ、それぞれ症状の出方が異なります。
痔核の主な症状は以下の通りです。
| 種類 | 主な症状 |
|---|---|
| 内痔核 | 排便時の出血、痔が外に出る感じ(脱出)、違和感 |
| 外痔核 | 肛門の腫れ、強い痛み、触れると痛む |
肛門管より内側にはほぼ感覚の神経はないため内痔核は痛みを感じにくく出血だけで気づくことも多いのが特徴です。
一方外痔核は皮膚に近く、皮膚と同じような痛みを感じる体性神経がかかわっているため腫れや痛みを強く感じやすい傾向があります。
痔核は日常生活と深く関係しています。主な原因には以下があります。
便秘や硬い便
排便時に強くいきむことで、肛門の血管に負担がかかります。
長時間のいきみ・トイレ滞在
血管が圧迫され、うっ血しやすくなります。
下痢を繰り返すこと
肛門への刺激が続き、炎症や血流障害を起こします。
妊娠・出産
腹圧の上昇や血流の変化により、痔核ができやすくなります。
長時間の座り仕事・運動不足
肛門周囲の血流が滞りやすくなります。
痔核の多くは、生活習慣の見直しで症状の改善が期待できます。
これらは、痔核の悪化や再発を防ぐうえでとても大切です。
症状に応じて、次のような治療を行います。
軟膏・坐薬
軽い痔核に関しては抗炎症成分の薬などの軟膏を使用して、出血や腫れを抑えます。
内服薬
主に便通を整え痔核になるリスクを減らしていきます。下痢、便秘いずれでもリスクになるため整腸剤や非刺激性の下剤などを処方して便の状態をコントロールしていく場合があります。
専門的な治療
内服や軟膏などの保存的治療で改善しない場合には、状態に応じて専門的な処置や治療を検討します。代表的な治療としては痔核の根本を縛るゴム輪結紮療法、痔核に注射をして血流を減らす硬化療法、外痔核で強い痛みを伴う場合は血栓(血液の塊)を除去する血栓除去術、痔核を縛って切除する結紮切除術などがあります。当院では処置はしておらず、症状を確認して肛門外科に治療を依頼する場合があります。
特に内痔核では血便はあるものの痛みがないことが多く、大腸がんでも同様の症状をきたすことがあります。ずっと痔核からの症状だと思っていた人が検査をすると、大腸がんと診断されることがあります。また稀ではありますが、肛門自体にがんができる場合があり、その時は肛門が硬かったり・痛みがでるなどの症状がみられることがあります。
血便がでたり、肛門を拭くと血液がつく場合、肛門に痛みがある場合は安易に判断せずに一度消化器専門の医療機関を受診することをおすすめします。
特にクローン病といった炎症性腸疾患、腸結核や梅毒などに代表される感染症に関しては肛門病変を合併するケースがあるため、肛門の症状から診断がつくことがあります。気になる症状がある場合は一度相談いただければと思います。
肛門の病気は決して珍しい病気ではなく、適切な対処と治療で改善が期待できる病気です。
「出血が続く」「痛みや腫れが気になる」などの症状がある場合は、我慢せず早めにご相談ください。当院では患者様のお話を丁寧に伺い、一人ひとりの状態に合わせた治療を行っています。
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