2026年8月14日

潰瘍性大腸炎というと、
「血便が出る病気」
「下痢が続く病気」
というイメージを持たれる方が多いかもしれません。
確かに、血便や下痢は潰瘍性大腸炎の代表的な症状です。
しかし、実際には症状の現れ方にはかなり個人差があり便秘となる場合や無症状のこともあります。
潰瘍性大腸炎では、炎症の強さだけでなく、炎症が大腸のどこまで広がっているかによっても症状が変わります。
今回は、潰瘍性大腸炎でみられる症状について、一つずつ詳しく解説します。
潰瘍性大腸炎で代表的な症状は下痢・血便
潰瘍性大腸炎では大腸の粘膜に炎症が起こり、粘膜が傷つきやすくなります。原則は肛門近くの直腸から奥の盲腸まで順に炎症が広がるとされています。
腸に炎症があると本来吸収される水分が吸収されなくなる場合や、細胞が保持している水分が難しくなることで腸内の水分が増えることで下痢になります。
便が通過する際などに炎症でダメージのある粘膜が出血し、血便がみられるようになります。
下痢・血便はどれくらい強いのか?
下痢・血便に関しては腸の炎症の強さ、範囲、元々の排便状態により幅が広いです。
直腸のみに軽度の炎症があるのみだと、トイレットペーパーに血が付くのみぐらいのことがあります。
一方大腸全体まで炎症がある場合だと便は全て水様便で、血便も混じっており、1日10回以上下痢がでることもあります。
粘血便とは
肛門から粘液と血液が混じった粘血便とされる便がでることがあります。粘りのある便に血液が混じっており、腸に炎症があるとみられることがあります。
排便回数の増加
潰瘍性大腸炎が活動期で炎症範囲が大きいと、軟便・下痢が多くなり排便回数が増加していきます。このため排便回数だけではなく、病気になる前の排便回数と比較して増加していることも腸に炎症が存在している可能性があるため重要となります。
しぶり腹(テネスムス)・便意切迫感
潰瘍性大腸炎で特徴的な症状の一つが「しぶり腹」であり、医学的にはtenesmus(テネスムス)と呼ばれます。
「便を出したのに、まだ出そうな感じがする」
「トイレに行ってもほとんど出ない」
「排便した直後なのにまた便意が来る」
という状態です。
これらは直腸に炎症があることにより実際には便がほとんど残っていなくても、炎症による刺激で残便感や便意の原因となります。その結果何度もトイレに行くようになります。
便意切迫感という直腸の炎症により急にトイレに行きたくなる、便の我慢が難しいなどの症状から電車に乗るのが怖い、会議に出るのが心配、トイレの場所をよく確認するようになるなどの社会的な問題もでることがあります。
夜間排便
潰瘍性大腸炎の炎症が強くなる、直腸に炎症があると
「夜中に便意で目が覚める」
「一晩に何回もトイレへ行く」
といった夜間排便が起こることがあります。
夜間にも下痢や血便が出る場合は、腸管の炎症が活発になっている可能性があり、睡眠が妨げられるため翌日の倦怠感や集中力低下にもつながります。
腹痛
潰瘍性大腸炎では腹痛が起こることがあります。
腹痛が起きるのは炎症による炎症性物質による痛みの刺激や腸蠕動が亢進することによる痛みが起きることがあります。
腹痛に関しては左側大腸炎型では下腹部、左下腹部に痛みがでることもあれば全大腸炎型では腹部全体に痛みがでることもあります。実際には腸の炎症がある部位以外でも腸の動きの痛みとしてお腹全体に痛みがでてもおかしくはありません。
一方腸の炎症範囲が広かったり、血便が多くても腹痛がない方もいるため症状には個人差が認められます。
潰瘍性大腸炎なのに便秘になることもあります
意外に思われるかもしれませんが、潰瘍性大腸炎でも便秘になることがあります。
炎症がある場所より口側の大腸に便が停滞し、「血や粘液は何度も出るのに、普通の便は数日に1回しか出ない」ということがあります。
潰瘍性大腸炎を疑う症状の期間、経過は?
潰瘍性大腸炎は長く持続する腸の炎症であり、ある程度症状が長く続いたり、増悪・改善を繰り返している場合に病気を疑います。
数日から2週間程度の腹痛や下痢の場合は感染性腸炎や食事の内容物に反応した症状などをまずは考えます。これらの場合は通常一時的なことのため症状時間とともに収まります。
2週間以上症状が持続している場合は原因が限られてきます。
感染性腸炎(カンピロバクター、赤痢アメーバ、エロモナス腸炎などの特殊な菌・寄生虫)
薬剤性下痢症(胃薬や痛み止めなどの内服で下痢がおきることがあります。)
放射線性腸炎
甲状腺機能亢進症
過敏性腸症候群
潰瘍性大腸炎
クローン病
このため経過が長い場合はこれらを考えます。
また潰瘍性大腸炎は増悪・改善を繰り返すことがあります。このため受診時以外にも下痢や血便を何度も繰り返していた場合には潰瘍性大腸炎の可能性を念頭に入れて診療を行います。
お腹以外の症状
潰瘍性大腸炎は大腸だけの病気ではありません。
「腸管外症状」といって、大腸以外の臓器にも症状が現れることがあります。
・関節痛
・皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)
・眼の症状(ぶどう膜炎、虹彩炎)
・口内炎
・胆管炎
これらの症状が出現することがあります。
海外のデータにはなりますが、潰瘍性大腸炎と診断される前に腸管外症状が先行して出現したのが17%と記載されている論文もあるためお腹の症状が出現する前に上記症状がある場合は注意が必要となります。
症状がほとんどない潰瘍性大腸炎もあります
潰瘍性大腸炎では、多くの患者さんが血便や下痢などの症状をきっかけに診断されます。
しかし、まれにほとんど自覚症状がない状態で、
健康診断
人間ドック
便潜血検査
別の目的で行った大腸カメラ
などを契機に炎症が発見されることがあります。海外のデータでは潰瘍性大腸炎と診断された例の1%程度とされているため、比較的めずらしいですが症状なく検査で診断される場合があります。
こんな症状が続く場合は一度ご相談ください
次のような症状が続く場合には、一度消化器内科へご相談ください。
特に症状が長く続く場合には潰瘍性大腸炎の可能性があるため、大腸カメラ検査など精査が必要となります。
当院では専門医による検査、治療を行っております。
また入院や外科的な治療に関しては連携している専門医に相談をすることが可能です。
もし気になることがあれば気軽にご相談下さい。